永野裕之のBlog

永野数学塾塾長、永野裕之のBlogです。

【新刊】ふたたびの確率・統計(1)【確率】編(すばる舎)

7/21に新刊『 ふたたびの確率・統計(1)【確率】編 』(すばる舎)が出ます。電子版も同時発売です。

ふたたびの確率・統計(1)【確率】編

出版社キャッチコピー

以下は出版社がつけてくれたキャッチーコピーです。

「ものの数をかぞえる」という最も原始的な数学から、現代数学にまで一気につながる集合と確率の話、無限や組合せ爆発、芸術に関わる偶然の話まで、これ以上ない丁寧かつ平易な説明で解き明かす

どういう本か?

本書『 ふたたびの確率・統計(1)【確率】編 』は、すばる舎さんより既刊の『 ふたたびの微分・積分 』、『 ふたたびの高校数学 』に続く『ふたたびのー」シリーズ第3弾です。

ふたたびの微分・積分

ふたたびの微分・積分

 
ふたたびの高校数学

ふたたびの高校数学

 

ふだん、個別指導で中学生から社会人まで広い世代に数学を教えていると、多くの方から(数学全般が苦手な方だけでなく、他の単元は比較的得意な方からも)

「場合の数がわかりません…」

「確率が苦手です…」

という声を聞きます。

しかも皆さん同じところでつまずくわけではありません。生徒さんがわからなくなってしまうポイントは本当にさまざまです。本書では、多くの方が引っかかる「難所」を公約数的にまとめるだけではなく、ごく少数の方が疑問に思う点についても―いわば公倍数的に―すべて拾い上げ、できるだけ丁寧に書きました。他に類書はないと自負しています。

後半に「入試問題集」が付いていることも大きな特徴です。各節の内容に関する大学入試問題を、教科書の基本レベルから入試の発展レベルまで計36題用意しました。

本書は、全体に図解が多く、本文を補足する脚注が非常に豊富である点も特色です。さらに、読者の方の気持ちを代弁する女生徒のキャラクターと、それに答える先生役のキャラクターのイラストを随所に配置し、本文のレイアウトも含めて、読者の皆様の目が先に進みやすいようにも工夫されています。

《イラスト例》

各節の終わりに配置した計9本のコラムも、かなり力を入れて書きました。ときに「脱線が過ぎる」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、これらのコラムを通して、高校のときにはなかった視点でそれぞれの内容を捉えていただければ、多角的な理解の助けになると思います。箸休めとして、気軽に読んでいただければ幸いです。

分冊(2冊)になった経緯

Probability and Measure

今回の『ふたたびの確率・統計』は、全2巻に分かれています。本書はその第1巻【確率編】です。当初は一冊にまとめるつもりだったのですが、とかく誤解・誤用の多い確率と、「はじめての~」という方も多いことが予想される統計について、「行間をとことん埋める」という『ふたたびの~』シリーズ共通のスタンスで書き進めるうちに、ボリュームが膨らみ、このような形になりました。

「全2巻になるくらいなら、必要なのは統計だから、確率は要らないよ」

というご意見もあるでしょう。確かに、記述統計*1だけでよいのなら、確率の素養は必ずしも必要ありません。しかし、一部のサンプルから母集団や未来のことを「○○%の確率で~である」と推測する推測統計についてもお伝えするためには、やはり「確率」とさらにその基盤となる「場合の数」について、しっかり説明することは避けて通れないと判断しました。

読者の皆様には、ご不便をおかけすることになってしまい、大変恐縮です。でもその代わり、他には例を見ないほど、高校レベルの場合の数と確率について、詳しく丁寧に書くことができたと思っています。

ちなみに、第2巻の【統計】編は9月に発刊予定です。

入試問題集について

前半の各項目の説明部分にも例や例題は多く取り上げていますが、加えて「入試問題集」を用意したのは、場合の数や確率は、数学のなかでも特に問題演習が重要な分野だからです。

まずは★(教科書基本レベル)や★★(教科書応用レベル)が付された問題を通して、確かな力をつけてください。そうして実力が上がってきたと感じたら、★★★(入試問題標準レベル)や★★★★(入試問題発展レベル)が付された問題にもチャレンジしていただきたいと思います。基本一辺倒ではない、いろいろな視点が与えられることで知的好奇心がくすぐられることでしょう。楽しみながら取り組んでいただければ幸いです。

本書の読者対象は?

Reader 127

まず、高校生のとき、場合の数や確率について、モヤモヤとした釈然としない気持ちを抱いていたすべての方が読者対象です。きっと「あー、こういうことだったのか」と膝を打っていただけると思います。

また、場合の数や確率は、公務員試験就職試験でも頻出の分野です。前述のとおり、場合の数や確率は、苦手にしている方が多いだけに、この分野がわかれば、大きな得点源になります。大学入試も含めて、試験対策をしたい方はどうぞお役立てください。

それから、結果的に分冊にはなってしまいましたが、本書は統計を学ぼうとする方のことを念頭に置いて書きました。統計をきちんと最初から学びたい方、あるいは統計を勉強しているけれど、どうもよくわからないという方、には是非読んでいただきたいです。 

目次

サンプルページ

謝辞

今回は、当初の予定より大幅にボリュームが膨れ上がってしまったこともあり、なかなか脱稿に至りませんでした。それでも、辛抱強く待って頂いたすばる舎さんには、この場をお借りて御礼申し上げます。おかげさまで、読者の皆様にお伝えしたいことは、端折ることなくすべて書くことができました。

担当編集者の稲葉健さんには、豊かな発想から貴重なご意見を様々頂戴し、原稿をブラッシュアップすることができたと思います。重ねて御礼申し上げます。

また、訴求力のあるカバーデザインにして下さった原田恵都子(ハラダ+ハラダ)さん、楽しくほっとする本文イラストを書いて下さったムロイコウさんなど、本書を世に送り出すためにお力添えを頂いたすべての方にも感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。  

ふたたびの確率・統計(1)【確率】編

ふたたびの確率・統計(1)【確率】編

 

 

 

 

*1:与えられたデータを、ヒストグラム等のグラフや、平均、標準偏差等の数値を用いてわかりやすくまとめること