
このたび、カワイ音楽教育研究会の機関誌『あんさんぶる(Ensemble)』2025年9月号に、インタビュー記事を掲載していただきました。



本誌は会員の皆さまへ配布される非売品のため、この記事ではインタビューの概要と、関連する過去の投稿をご紹介したいと思います。
この取材は、昨年私が指揮をしたテオ・ドーロ歌劇団のオーケストラの中にライターの方がいらしていて、そのご縁から声をかけていただいたことで実現しました。
記事は全3ページにわたる特集で、これまでの歩みや現在の活動、そして今後の目標について、たっぷりとお話しさせていただいています。
このように私自身にスポットを当てていただき、音楽活動も含めても取り上げていただくことは滅多にないので、大変ありがたい貴重な機会でした。深く御礼申し上げます。
また、今の自分があるのは、これまで支えて下さった皆様のおかげであることを改めて痛感する機会にもなりました。私に関わって下さった皆様に心から感謝いたします。
これまでの歩みについて
半生を振り返るなかでは、小学生の頃にブーニンさんが優勝したショパン国際ピアノコンクールのドキュメンタリーに魅了されたこと、中学時代に井上道義先生を追いかけて、ついに直接お会いする機会を得たこと、高校生のときにホーキング博士の講演を聴いて宇宙物理に心を奪われたことなどをお話ししました。
大学時代には、東京大学歌劇団の創設に携わり総監督を務めたことや、道義先生を通じてご紹介いただいた本名徹次さんに大変可愛がっていただいたこと。そして、憧れだった宇宙科学研究所(現JAXA)の研究室に進んだものの、音楽への思いを抑えきれず中退し、ウィーン留学を決意したことなども語らせていただきました。
ウィーンでは、西洋の土壌の中で育った音楽には「感覚やセンス」よりも「論理的思考」が求められることを改めて学び、その点に数学との共通点を見出したこともお話ししています。
現在の活動について
去年、テオ・ドーロ歌劇団で「愛の妙薬」を振らせていただきましたが、現在の仕事としては、オンラインの個別指導塾で教えることと書籍の執筆がメインです。
私が数学を教える最大のモチベーションは「数学は人類を救う」と本気で信じているからだということもお話ししました。実際、数学は人間の思考力を鍛え、現在の科学技術を支えています。
ですから生徒の皆さんには、入試を突破する力(もちろんそれも大事ですが)よりも、数学を通して、一生ものの論理的思考力を身につけてもらうことを目指しています。
私個人の力は微々たるものですが、数学教育に携わる者の一人として、数学の力がより良い世界の実現に役立つよう、日々精進して参ります。
個別指導について
現在の仕事については、なぜ個別指導にこだわって数学を教えているのかをお話ししました。
授業では生徒の前で問題を解くわけですが、その際私は、参考書の解法をなぞるのではなく、問題の意図を考えながら即興的に解き進めます。理由を一つひとつ説明し、生徒の意見も聞きながらディスカッションしていくのです。
これを聞いたライターの方が「まるで音楽のレッスンみたいですね」とおっしゃってくださり、言い得て妙だと思いました。
音楽のレッスンでは、楽譜に書かれていることをどう解釈するかを、意味や考え方を示しながら、実演を通して伝える先生は多いでしょう。その点が、確かに私の授業と通じていると思います。
論理的思考力について
数学的な論理的思考力とは、次の7つの力を複合したものであるという、私の持論もお話しました。
- 情報を整理する力
- 様々な視点を持つ力
- 抽象化する力
- 具体化する力
- 変換する力
- 分解する力
- 総合・説明する力
勉強法について
勉強法については、手は「第2の脳」であるから手を使って紙に書くことの大切さを話しました。これは東大教授だった父の教えでもあります。
また、高校生のときに、人に教えることは大変勉強になることに気づいた私は、部屋に黒板とチョークを買ってもらい、誰もいないのに一人で板書しながら授業をするという「先生ごっご」をしていたこともお伝えしました。
数学と音楽について
数学と音楽には密接な関係があることもお話ししました。
特に楽曲のアナリーゼや辻褄が合うことが好きな人は、数学的なセンスがあるはずだから、是非数学にも取り組んてみてほしいということをお伝えし、拙書の中から、『オーケストラの指揮者を目指す女子高生に「論理力」がもたらした奇跡』(実務教育出版)をオススメしました。
この本は、論理的であるとはどういうことかを書いた、「聖書に次ぐベストセラー」でもあるユークリッドの『原論』を解説しつつ、サブストーリーとして、指揮者を目指す女子高生が奮闘するエピソードが書かれています。
今後の展望について
最後に、今後の展望もお話しさせていただきました。
以前登壇させていただいた「数学教育フェス」でお目にかかった秋山仁先生から「世界には数学教育を必要としている子供がたくさんいるのに、数学教師が足りてない」というお話しを伺いました。
現在、オンラインで授業をしておりますので、私にも何かお役に立てることがあるのではないかと、模索している最中です。
謝辞
ライターの福田美代子さんは、私のとりとめない話を見事にまとめて下さいました。お声がけいただいた点も含め、この場で深く御礼申し上げます。
また写真家の布川航太さんにも素敵な写真(↓)を撮っていただき、本当に感謝しています。




おまけ

実は、我が家のピアノは、15年前に「カワイ表参道」で出会ったボストンピアノです。試弾させていただいて、そのタッチと音色に惚れ込み、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入させていただきました。以来、今でもとても気に入っています。