ベネラ計画と聞いて、「ああ、ソ連の…」と分かった人はかなりの通です(笑)
ベネラ計画
1960年代初頭から80年代にかけて、ソビエト連邦(当時)が推進した金星探査計画。1号から16号が打ち上げられました。ソ連はベネラ計画の中で以下の「史上初」を達成しています。
・他の惑星の地表到達(3号)
・他の惑星の大気を測定(4号)
・他の惑星に軟着陸(7号)
・他の惑星の地表からデータ送信(7号)
金星探査
アメリカとソ連はいわゆる宇宙開発競争の中で、月ほど華やかではなかったものの、地球に近い惑星である金星でも無人惑星探査で競いあいました。金星に無事到達し人類初の惑星フライバイ(天体への接近通過)を行った宇宙船は1962年のアメリカのマリナー2号。一方初めて金星に着地した宇宙船は1970年に打ち上げられたソ連のベネラ7号。初めて金星からの映像送信に成功したのはソ連のベネラ9号。金星探査についてはソ連に軍配でしょうか。
ベネラ14号から送られてきた金星表面の写真。砂と平たい岩石が見えます。
その後、1989年のアメリカのマゼランよって、金星表面の98%をカバーする地形図が作られ、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)によって打ち上げられたビーナス・エクスプレスは2006年に金星に到達し、金星の大気について詳細な観測を行いました。
日本の金星探査
JAXAデジタルアーカイブス
日本の金星探査機「あかつき」(PLANET-C)は金星全体の気象現象や地表面を広い範囲で調べたり、金星から宇宙空間へと逃げ出す大気の観測や雲のクローズアップ撮影を行います。金星での雷の放電現象や、火山活動の有無等を調査することもミッションに含まれています。
最初の計画では2010年の12月に金星周回軌道に入る予定ですが、残念ながらこれは失敗してしまいました。次のチャンスは2015~2016年です。「はやぶさ」に負けじと粘り強く、目標達成に挑んで欲しいと思います。
金星とは
金星は地球と大きさも質量もほぼ同じ双子の兄弟のような星です。しかし、その2つの星の様子は全く違っています。金星の大気はほぼ二酸化炭素で気圧は約90気圧。 この分厚い二酸化炭素大気による温室効果で気温は約500度。さらに、スーパーローテーションと呼ばれる秒速100mクラスの暴風が吹き荒れ、硫酸の雨が降ります…穏やかな地球とはえらい違いです。
AstroArts
しかし、そんな"地獄"のような金星も地球から見ると、明け方の「明けの明星」、夕方の「宵の明星」として知られる非常に明るく美しい星です。ちなみに金星を夜中に見ることができないのは、金星が地球よりも太陽に近い内惑星で、地球から見ると、いつも太陽の近くにあるからです。
金星は地球の兄弟惑星と言われるほど内部構造や組成が似ていますが、太陽からの距離がほんの少し違うだけで、生命にとっては過酷な状況がそろっています。地球という星の奇跡にあらためて感謝したくなります。
以下はJAXA(宇宙航空研究開発機構)提供の、金星と「あかつき」に関する紹介動画です。とても分かりやすくまとめられています。
金星大気の謎に挑む~金星探査機あかつき(PLANET-C)~
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