学生時代、あなたは数学は得意でしたか? それとも苦手でしたか?
2021年に高校生に対して行われたLINEリサーチによると、「苦手な科目ランキング」で数学は男子高校生の2位(40.7%)、女子高校生の1位(59.9%)だったようです。
永野数学塾で開講している「大人の数学塾」にも、「数学を学び直したい」と言って入塾を希望される方は跡を絶ちません。
数学と英語は、多くの大人の方がコンプレックスを感じていて、いつかは学び直したいと思われている2大教科でしょう。
ただ、英語は比較的学び直しやすい教科かもしれません。積み上げる過程がイメージできる上に、海外旅行で困らないようにしたい、ビジネスシーンで英語を使いたいなど、その目標とすべきところがわかりやすいからです。
一方、数学の方はどうでしょう? 数学的思考が大事だとか、論理的思考力を身につけるためには数学を学べとか、そういう文言は繰り返し耳にするものの、
- 小学校の算数からやり直せばいいの?
- 計算のドリルをやるべき?
- 方程式とか関数とかは必要?
- 高校の教科書の全てを学び直す必要がある?
...etc.
一体どこから手をつけたら良いかわからない、という方はとても多いと思います。
私は、永野数学塾開塾当初から「大人の数学塾」を開講し、社会人の方の「学び直し」のニーズにできる限りお応えしてきました。
ただし、永野数学塾では個別指導(オンライン)というスタイルを取っていることもあり、実際にご縁のある方はそう多くありません。また、ビジネスパーソンの皆さんはお忙しいですから、毎週決まった時間に授業を受けていただくことが物理的に不可能だという方も多いです。
おかげさまで、これまでに書かせていただいた書籍は、直接授業をさせていただくことが叶わない方に向けて、私の「分身」となり、一定の役割を果たしてくれています。執筆に関しては、これからも皆様のお役に立てるような本を世に出せるよう益々精進していくつもりです。
ただ、最近は、授業や書籍以外にも何かビジネスパーソンの方々にアプローチする別の方法はないかと模索しておりました。授業も書籍も届かない方々の中にも、大きなニーズがあることを感じていたからです。
そんな折、動画ラーンニングのアントレプレナーファクトリー様からお声がけいただき、ビジネスに必要な数学的思考法のエッセンスを計47本の動画にまとめる機会を頂戴しました。授業に近い「語り」と「動き」による説明を、好きな時間に好きなだけ見ていただけるということに、私自身も手応えと可能性を感じています。
↓のリンク先(アントレプレナーファクトリー様のサイトです)に詳しい説明がありますので、ぜひご一読ください。
どうしてビジネスに数学が必要なのか?
2019年に経済産業省が出した報告書「数理資本主義の時代」には次のような衝撃的な言葉がつづられています。
「この第四次産業革命を主導し、さらにその限界すら超えて先へと進むために、どうしても欠かすことのできない科学が、三つある。それは、第一に数学、第二に数学、そして第三に数学である!」
蒸気機関の発明がもたらした第一次産業革命、電気の登場による第二次産業革命、コンピュータの普及による第三次産業革命に続く「第四次産業革命」が、今まさに現在進行中であることをご存知でしょうか?
実際、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)等を用いた技術革新が日々さまざまな場面にイノベーションを起こし、これらがもたらす画期的な製品やサービスによって、かつてない勢いで新しい市場が開拓されています。
AIとは、人間が行う学習と同等の「学習」をコンピュータに行わせる機械学習を応用した技術のことです。いうまでもなく機械学習でコンピュータが読み込むデータはすべて数字です。人の好みや感情も含めてすべてが数値化されます。
現代は、人類史上最も数字がモノをいう時代だといっていいでしょう。ITの技術が進歩し、機械学習のニーズが高まることによって、数字が判断と予測の基準となる世界が急速に拡がっています。
ビジネスにおいて数字に弱いことは許されない
数学が苦手な方の多くは、方程式や関数といった数学の内容以前に「数字に弱い」という悩みを持っていらっしゃいます。
もちろん、どんなに数字に弱くても、数字そのものが読めない、という方はいないでしょう。でも数字が読めることと、数字の意味(数字が表すなにがしかの概念)がわかることはまったく別の話です。
それは、「I love you.」 を「アイ・ラブ・ユー」と読めるからと言って、「I love you.」が意味する本当のところがわかるとは限らないのと似ています。
誤解を恐れずに言えば、ビジネスパーソンであっても、職種によっては英語がわからなくても大丈夫かもしれません。でも、数字の意味するところがわからなくてもよいケースというのは、少なくともビジネスの上では皆無ではないでしょうか?
ビジネスである以上、そこには必ずお金が関係します。そもそも金銭の多寡は数字で表されるわけですから、仕事をしていく上で数字の意味するところがわからなくても大丈夫ということは考えられません。顧客データにも在庫管理表にも人事データにも数字は溢れています。
それなのに、数字が意味のない無機質な記号にしか見えないというのは、何割かはまったく知らない言語が混じる世界で仕事しているようなものだと言ったら言い過ぎでしょうか。
数学を学ぶ最大の目標
数学を学ぶ最大の目標は、論理的思考を身につけ未知の問題に対する問題解決能力を磨くことです。
三角形の合同条件も、2次方程式の解の公式も、三平方の定理も忘れてしまって構いません。これらは、演繹的思考法*1を駆使して、まだ誰も解いたことがない問題にアプローチする訓練を行うための「道具」です。
かつてアインシュタインは
「教育とは、学校で学んだことをすべて忘れてしまった後もなお残るもののことだ」
といいました。
問題の解き方を覚えること、テストで点を取ることに追われるあまりに、公式や解法をすべて忘れてしまった後に残る真に価値あるもの=問題解決能力を学び損ねてしまった方はとても多いのです。
そんな方のために、この動画では「問題解決能力」を、数学が苦手な方にもわかりやすく、かつ最短距離でお伝えします。ぜひ、忘れたくても忘れようがない知恵となるような「数学的な考え方」を自分のものにしてください。
このコンテンツで学んでいただけること
この動画は、数学の内容そのものを説明したものではありません。中学や高校の授業とは全くの別物であるとお考えください(本コンテンツの内容は、これまで色々な本に散りばめて書いてきましたが、「学生時代に、こんな風に教わりたかった」と好評を頂いております)。
では、何をお伝えするのか。
それは、本来は数学の全体を学んで初めて身につくような「数字に強くなるコツ」と「問題解決能力」です。それにどんなに暗算が苦手な方でも計算に強くなる「計算のテクニック」もご紹介します。
前提となる数学的な知識はほとんど何もありません。
また、動画ですから、分かりづらいところは何度でも繰り返し視聴していただくことも可能です。
今回ご用意した動画は
- ビジネス数学とは(7本)
- 計算のテクニック(7本)
- "数学的"問題解決能力(基礎)(15本)
- "数学的"問題解決能力(実践)(17本)
の4部構成になっています。
それぞれの内容を簡単に紹介していきます。
1.ビジネス数学とは
私の考える「数に強くなるための3つの条件」、それと↓の画像にあるような「数学的思考力」についてご説明します。最近注目を集めている「フェルミ推定」も解説しました。
- なぜ数に強い必要があるのか?
- 数に強くなるための3つの条件①
- 数に強くなるための3つの条件②
- 数に強くなるための3つの条件③
- ビジネスパーソンに求められる数学的思考力①
- ビジネスパーソンに求められる数学的思考力②
- ビジネスパーソンに求められる数学的思考力③
2.計算のテクニック
皆さんのまわりにもきっと「計算が得意な人」がいると思います。びっくりするような速さで2桁×2桁の掛け算をして見せたり、消費税分を計算したり、割り勘の額をはじき出したり…。計算が苦手な方からすると魔法のように思えるかもしれませが、「計算が得意な人」の多くは誰にでも使えるテクニックを知っています。この動画では、その代表的なものを紹介しました。
計算のテクニックは、書物ではイメージしづらいものです。アニメーションが使える動画だからこそ、わかりやすくお伝えできると自負しています。
- 2桁+2桁の足し算&2桁×1桁の掛け算&100や1000からの引き算
- 2桁×2桁の掛け算&×5の倍数の掛け算
- ×5、×25、×125の掛け算&÷5、÷25、÷125の割り算
- 10□×10□の掛け算&差が偶数の掛け算&近い数どうしの掛け算(近似)
- 平方数、立方数の覚え方&2桁の平方数の計算
- 19×19までの2桁どうしの掛け算
&一の位の数の和が10で十の位が同じ2桁どうしの掛け算 - 指折り掛け算と指折り二進法
3.数学的問題解決能力(基礎)
未知の問題解決能力に繋がる「数学発想術」を7つのパターンにまとめました。
数学は「才能」のある人だけの専売特許ではありません。数学的に発想することは誰にでもできることなのです。と言うより、多くの人は既に無意識のうちに数学的に発想しています。
ただし意識してそれができるかどうかは大きな違いです。意識していないと「ヒラメキ」(と感じることでしょう)に頼らないと問題が解決できなかったり、良いアイディアが浮かばなかったりしますが、数学的に発想するということが、どういうことかが分かっていて、それを意識することができれば、他人には斬新に思えるアイディアが、自分には必然だと思えるようになります。
この「基礎編」では、そのための発想法を、ワインの整理やランチの買い物といった日常生活を題材にして紹介しました。とてもとっつきやすい内容になっていると思います。
- 数学発想術7つのパターン
「整理する」①
「整理する」②
「順序を守る」①
「順序を守る」②
「変換する」①
「変換する」②
「抽象化する」①
「抽象化する」②
「具体化する」①
「具体化する」②
「逆の視点を持つ」①
「逆の視点を持つ」②
「数学的美的センスを磨く」①
「数学的美的センスを磨く」②
4.数学的問題解決能力(実践)
この「実践編」では、基礎編をマスターした方、基礎編では飽き足らない方に、高校入試、大学入試の数学の問題を解きつつ、答えに至るプロセスの中からどんな数学的発想が学べるかをお話していきます。
と言っても、事前の数学の知識は最低限で済むように、整数、場合の数、確率に分野を絞っていますのでどうぞご安心ください。
見終わったときには「頭が良くなった気がする!」と自信を深めていただけるような内容になっていると思います。
- 素因数分解ー問題の細分化
- 積を作るー新しい情報を生み出す
- 解を絞り込むー必要条件
- 周期性を見つけるー合同式
- 抽象化するー文字式
- 間接的に証明するー背理法と対偶
- 足がかりを見つけるー特殊解
- 数学的に推論するー帰納と演えき
- 予測の正しさを証明するー数学的帰納法
- 100%を証明するー鳩の巣原理
- ものの数え方ー順列と組み合わせ
- 逆の視点を持つー補集合
- 「かつ」と「または」を理解するード・モルガンの法則
- 問題を置き換えるー1対1対応の利用
- 「同様に確からしい」を考えるーラプラスの確率
- 未来に目を向けるー期待値
- 原因をつきとめるーベイズの定理
視聴方法
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謝辞
今回、貴重な機会を与えて下さり、本コンテンツの制作にご尽力をいただいたアントレプレナーファクトリーのスタッフの皆様には、この場をお借りして心から感謝申し上げます。
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紹介動画
*1:演繹的思考法とは、一般に成り立つことを個別の例にあてはめて推論すること。反対に個別の例にあてはまることから、一般に成り立つ事柄を推論することを帰納的思考法と言う。