昨日太陽に最も近く灼熱の惑星であるはずの水星に氷が存在していることが米探査機の画像により明らかになった、とのニュースが流れました(以下は記事の引用)。
太陽に最も近く、灼熱の惑星である水星に氷が存在するという仮説を、米水星探査機「メッセンジャー」が撮影した画像が裏付けたと、米ジョンズ・ホプキンス大などの研究チームが米専門誌に発表した。
水星の極域には、20年以上前に地球からの電波望遠鏡の観測で、氷に覆われた木星の衛星のように、電波を強く反射する領域が見つかっている。そのため、氷がある可能性が指摘されているが、昼の水星表面温度は約400度に達し、仮説の真偽は不明だった。
研究チームは、水星の軌道を周回するメッセンジャーの撮影画像を分析し、南極付近の複数のクレーター(最大直径180キロ・メートル)の内側に、永久に太陽光が当たらない場所があることを確認。電波望遠鏡で氷の存在が予想された場所と一致した。氷は、表面が土で薄く覆われていれば安定的に存在するとしている。
(2012年6月3日23時13分 読売新聞)
ハビタブル・ゾーン
「〇〇に水(氷)が見つかった」
というニュースが、多くの人の興味を惹くのは
「水があるのなら、生命もいるのでは?」
という期待につながるからだと思います。
宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境となる天文学上の領域を「ハビタブル・ゾーン(HZ:habitable zone)」と言います。そして、ある惑星がHZの中にあるかどうかは、その惑星の表面温度が、液体の水が存在できる範囲にあるかどうかによって決まります。
このHZは恒星の光度と恒星からの距離によってのみ算出され、大気組成は地球と同じような組成であることを前提としています。しかし実際は惑星の表面温度はその惑星がどのような組成の大気を持っているかに大きく依存します。例えば二酸化炭素が含まれる割合が違えば温室効果の影響が異なり、表面温度に少なからぬ影響を与えるでしょう。また、隕石の衝突や自転軸の傾き等によっても、環境は劇的に変わってしまいます。結局、本当に惑星表面に液体の水が存在するかどうかは、より高度な観測方法の確立を待つしかありません…。
宇宙の中の地球
地球の出
しかし、近くから見た地球はやはり息を呑むほどに美しい星です。
これは1969年に月を周回飛行するアポロ11号の宇宙船から撮影された「地球の出」と名付けられた写真です。手前に大きく見える月の大地の彼方に、我々の住む地球が姿を現しています。
なお、月は常に同じ面を地球に向けているため、月面上に立つと地球はいつも同じ場所に見え、「地球の出」という現象は見られません。「地球の出」は月を周回する宇宙船だけから見られる現象と言えます。
宇宙が誕生してから現在までが1年だとすると
いずれにしても、地球が「奇跡の星」であることは疑いようのないことだと思います。そしてその上に人類が存在できる時間は、地球や太陽や宇宙全体の寿命からしたら、ほんのわずかな時間です。ここに面白い試算があります。もし、仮に宇宙が誕生してから現在までが1年だとすると…
1月1日 ビックバン
5月1日 銀河系誕生
9月9日 太陽系誕生
9月14日 地球誕生
9月20日 生命誕生
12月25日 恐竜全盛
12月31日23時53分 現生人類誕生
つまり、人類が誕生してからまだわずか7分です。ちなみに太陽の寿命は翌年の8月くらいまで。宇宙のスケールの中では私たちの人生など瞬きの時間にすらなりません…その一瞬のきらめきの中に命をもらった奇跡に感謝♪
永野数学塾-東大卒講師の個別指導-神奈川県大和市中央林間