永野裕之のBlog

永野数学塾塾長、永野裕之のBlogです。

太陽フレアの脅威(人類の滅亡?)

「○○年○月○日に世界が滅亡する」という終末思想はいつの時代も世間を騒がします。
もちろん、ノストラダムスの大予言をはじめこれまでそういった類の「予言」は当たったことがありませんが(私たちは生きています!)、近いところでは「2012年12月23日世界滅亡論」がちょっとした話題になっているそうです。それはマヤ文明の暦が2012年12月23日という中途半端なところで終わっていることに由来しているそうです。

個人的には「マヤ暦滅亡論」も眉唾だろうとは思うものの、この話を聞いた時に思い出したことがあります。それは数年前にNASAが発表した「2013年の太陽フレアの脅威」です。
ニュースソース(画像元)⇒2013 - Solar flare could turn sky red, wipe internet and paralyse earth

関連記事⇒X-1.4クラスの太陽フレア発生!

太陽フレアとは

フレアとは火炎(燃え上がり)のことですが、太陽フレアとは太陽の活動域で突発的におきる爆発現象のことを言います。多くは太陽の活動が活発なときに太陽黒点の付近で発生します。

フレアの大きさは通常数万km程度であり、威力は水素爆弾10万~1億個と同等です。

フレアの発生時には、多くのX線ガンマ線、高エネルギー荷電粒子が発生し、高エネルギー荷電粒子が地球に到達すると、デリンジャー現象磁気嵐オーロラ発生の要因となります。

太陽フレアの脅威

大規模な太陽フレアが起きると、その脅威は3段階で地球に届きます。

(1)8分程度で電磁波が到達

宇宙空間を漂う人工衛星は直接影響を受けて次々と地球に落下。飛行機の運行やGPSなども含めて多くの通信システムに支障をきたし交通機関は麻痺するでしょう。加えてTV、ラジオ、携帯電話などの通信もできなくなり、大きな混乱が起きることが予想されます。


(2)数時間で放射線が到達

放射能を遮断できる施設内にいないと被曝してしまいます。

(3)数日後にコロナからの質量放出が到達

これに伴って磁気圏内に生成される電気エネルギーが原因となって発生した誘導電流が送電線に混入し、停電や電力システムの破壊を招き、電力網が停止する恐れがあります。都市を中心に世界的に電力供給に影響が出ることが見込まれ、復旧に莫大な資金がかかり、経済的な損失を招くことになります。

NASAが招集した研究チームによると、もしこのような大規模な太陽フレアが起きれば、被害額はアメリカだけでも「最初の1年間で1~2兆ドル」にのぼり、「完全復旧には4~10年」を要すると予測しています。しかしこれは、地球全体におよぶ被害のごく一部にすぎません。もし大規模なフレアが起これば、社会に大混乱が生じ文明は19世紀初頭に戻ると予想されています。

過去の太陽フレアによる被害

《1859年》

過去最大の巨大なフレアは 1859年に発生し、その際には、地球の空の3分の2が赤いオーロラによって血のように真っ赤に染まりました。この時にはヨーロッパ及び北アメリカ全土の電報システムは停止し、電信用の鉄塔は火花を発し、電報用紙は自然発火しました。

《1989年》

1859年の太陽フレアに比べれば、ずっと小さな太陽フレアが1989年に発生しました。この時はカナダのケベック州を直撃。電力システムを破壊し、9時間にわたって停電600万人に影響し、復興に数カ月を要しました。

スーパーフレア

1859年規模の太陽フレアが起きた場合でも、現代社会は甚大な被害を被ると思われますが、通常のフレアの100倍~1000倍のエネルギーを放出する大爆発(スーパーフレア)が数百年~数千年に1度の割合で起きる可能性があることが最近の研究で分かっています。(参考⇒京大、スーパーフレアの統計化に成功

これまでは恒星のすぐ近くを巨大な惑星が公転している場合に、恒星表面の磁力線の向きが歪むことでスーパーフレアが起きると考えられてきました。つまり「そのような惑星を持たない太陽ではスーパーフレアは起きない」というのが通説でした。

しかし、NASAケプラー天文衛星の膨大な観測データから、8万3000個の太陽型恒星の120日間の活動データを調べたところ、近傍に巨大な惑星を持たない恒星でもスーパーフレアが起きる可能性は十分あることが分かりました。ちなみに過去450年間には太陽ではこのようなスーパーフレアは起きていないことが分かっています。

恒星のフレアで吹き飛ばされる惑星の大気


地球から63光年かなたの恒星のHD 189733はこぎつね座のあれい星雲(M27)のそばある8等星で、双眼鏡でも確認することができる「身近」な恒星です。


その星の周りを回る「ホットジュピター」(木星型の巨大ガス惑星)HD 189733bは、主星との距離は約500万kmと地球から太陽までの距離の30分の1程度しかなく、たった2.2日で主星の周りを1周します。このため内部大気の温度は摂氏1000度以上にもなっています。

ハッブル宇宙望遠鏡が2010年と11年にこの惑星系を観測し、発生するフレアを調べた結果、この惑星では1秒あたり1000トンの速度で大気が蒸発していることが判明しました。下の図は、HD 198733bが主星のフレアによって大気を吹き飛ばされている様子の想像図です。
画像元(NASA)⇒A Change in the Air(クリックすると大きな画像が見られます)

最近観測された太陽フレア


下の図は2012年7月6日にNASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー (SDO)」が、捉えた太陽フレアの様子です。
画像元(NASA)⇒Independence Day Solar Fireworks(クリックすると大きな画像が見られます)

いたずらに不安を煽るつもりはさらさらありませんが、大規模な太陽フレアはおゆそ100年に1度程度の割合で起きていることと、11年周期の太陽活動サイクルが最近は遅れ気味であることなどから、NASAは2013年の5月に大規模な太陽フレアが起きる可能性が高い、と予想したようです。大規模な太陽フレアが発生するにしても、地球とは違う方向に向いてくれることを祈るばかりです…。

追記(2013年5月18日):
実際、2013年の5月13日~14日にかけて、大規模な太陽フレアが観測されました。

今後2週間、通信衛星放送衛星などの人工衛星全地球測位システムGPS)での高精度測位の誤差の増大などに注意する必要がある――。独立行政法人情報通信研究機構NICT)が警告している。

NICTは5月13日~14日に合計4回の大型の「太陽フレア」と呼ばれる現象を確認、この現象に伴いほぼ同時刻に「デリンジャー」現象の発生も確認した。

太陽フレア現象とは、太陽の黒点群で生じる爆発現象。太陽フレアで強い紫外線やX線、電波などが放射されるだけでなく、高温のガスが放出される「CME」という現象が生じることもある。太陽フレアは、小規模なものからA、B、C、M、Xの順にクラス分けされる。今回確認された太陽フレアはXクラスになる。

「太陽にご用心:今後2週間、人工衛星やGPSなどに障害起きる可能性--NICT警告 -CNET Japan」より

関連記事⇒X-1.4クラスの太陽フレア発生!

 

今日の動画


HUGE explosion on the Sun on June 7, 2011
SODが2011年6月7日に捉えた中規模太陽フレア

Dramatic change spotted on a faraway planet WWW.GOODNEWS.WS
上記のHD 189733bの大気が主星のフレアによって「蒸発」している様子です.