一昨日、太陽フレアの記事をアップしました(過去記事⇒太陽フレアの脅威)が、昨日、太陽に巨大な黒点群(AR1520)が観測され、25%の確率で24時間以内に大規模なフレアが生じると報じられました(⇒NASAが大型の太陽黒点群を観測、巨大フレア発生の可能性も)
その続報です。
NASAより「日本時間の本日未明1:50分頃、X-1.4クラスの太陽フレアが黒点群1520から発生した」との発表がありました(⇒Big Sunspot 1520 Releases X1.4 Class Flare)
太陽フレアの規模の表し方
フレアの規模はX線の強度によって上からX、M、C、B、Aの5つの等級に分類されます。Cクラスは小規模、Mクラスは中規模、Xクラスは大規模のフレアです。
過去の主な太陽フレア
2012年3月7日:X5.4
2011年11月4日:X2.0
2011年8月9日:X7.0
2011年2月15日:X2.3
2006年12月5日:X9.1
2003年11月4日:X28(観測史上最大。ただし地球をそれたため被害は無し。)
2003年10月28日:X17.2(陸別、名寄でオーロラ)
2001年4月3日:X17
1989年10月19日:X13 (カナダのケベック州全域の電力網を破壊)
1921年:1989年10月のフレアの10倍の規模
1859年9月1、2日:「1859年の太陽嵐」(現在までの500年間の最大規模の被害)今回の太陽フレアの影響
太陽フレアはそれが地球の方向を向いている場合に影響が懸念されます。そして今回は地球方向を向いていたため、注意が必要なのですが、日本に関しては、発生時刻が真夜中で、太陽の方向を向いていなかったので、少なくとも太陽フレアがもたらす電磁波(8分後に到達:通信に影響)や、放射能(数時間後に到達)の心配はほとんどないと思います。ただし、数日後に届くコロナ質量放出(CME:下記参照)については、注意が必要かもしれません。(注:今回のコロナ質量放出は7/14の日本時間19:20頃に地球に到着すると見積もられています。)
ちなみに2012年の3/7に発生したX-5.4クラスの太陽フレアも地球方向を向いていて、コロナ質量放出は3/8に地球に到達しました。しかしこの時は美しいオーロラが観測されたものの、大きな影響はありませんでした。
1989年のように、X-10クラスを超える規模の太陽フレアが地球を直撃した場合は、大きな被害になります。
プラズマとは
気体を構成する分子が部分的に、または完全に電離し、陽イオンと電子に別れて自由に運動している状態のことをプラズマといいます。プラズマ中の電荷は、異符号の電荷を引き付けるため、全体として電気的には中性です。また、構成粒子が電荷をもつため、粒子は電磁場を通して遠隔的な相互作用をすることができ、離れた領域にある粒子の運動に依存したふるまいをします。このように、分子からなる気体とは大きく異なった性質をもつため、プラズマは物質の三態、すなわち固体、液体、気体とは異なった、物質の第四態といわれます。ちなみに「炎」はプラズマの一種です。
[プラズマボール]
コロナ質量放出
コロナ質量放出(Coronal mass ejection、CME)は太陽フレアに伴い、太陽から惑星間空間内へ突発的にプラズマの塊が放出される現象です。放出される質量は10億トンにも上り、速度は秒速100キロから2000キロメートル。
これが地球磁気圏に衝突すると、大きな地磁気変動が引き起こされ、磁気圏内に生成される電気エネルギーが原因となって発生した誘導電流が送電線に混入し、停電や電力システムの破壊を招き、電力網が停止する恐れがあります。
巨大黒点群AR1520
今回観測された巨大黒点群AR1520の写真。
[July 10, 2012. Jv Noriega in Manila, Philippines.]
本日の動画
Sunspot 1520 Pops an X-Class Flare (7-12-2012)
今回の太陽フレアが発生した時の動画です。