昨日放送されたNHK Eテレ「テストの花道」に出演させていただきました。今回は「夏休み!ベンブ10万人の声!!苦手克服スペシャル」。通常30分の番組を60分に拡大して夏休みだからできる苦手克服法を紹介する内容でした。
番組の司会は所ジョージさん | と城島茂さん |
私は(もちろん)数学担当です。ただ、60分の中で全科目の苦手克服法をやり国語や社会などではロケも行ったということでディレクターさんからは事前に
「数学に割ける時間はごく短くなってしまうと思います…」
と聞いていました。確かに短ったです(笑)。でも、初めて名前を紹介してもらってテレビに出るという経験をさせていただいてとても励みになりました。お声をかけていただいたNHKさんに感謝です。
番組の中でお伝えしたことはディレクターさんと相談して決めたことですが、なにぶん時間が短ったので(あ、べつに根に持っているわけではありません(笑)!)このブログでは「完全版」というか「補足版」をお伝えしておきたいと思います。
3色ふせん法
私は常々、数学を学ぶ上で大切なことは「やり方(How)」を暗記することでなく「なぜ(Why)」そのように解くのかを考えることだと生徒さんに伝えています。
下の画像は拙書「大人のための数学勉強法」できたみりゅうじさんに描いて戴いた、数学が苦手な人の典型的な勉強方法です。
この勉強法がダメな理由…それは、
なぜ出来なかったのか?
を考える視点が抜けていることです。数学というのは未知の問題が解けるようになるために学ぶ学問です。教科書の例題や問題集を通して、どんな問題にも通じるようなアプローチの方法が学べなければ意味がありません。そのための第一歩として大切なのが「どこがわからないのかを分析すること」です。番組では具体的な方法として「3色ふせん法」をご紹介しました。
3色ふせん法は、自分ができなかった問題を分析して
のように色分けしてノートにふせんを貼っていきます。こうすることで自分がわからないポイントが明確になり、
どうすれば解けるようになるか?
を自然と考えられるようになります。
もどりま表
自分の「わからない」を分析して弱点がはっきりしても、どこを勉強しなおせば良いかが判然としないことがあります。そんな時に活躍するのが「もどりま表」です。
中有学数学は文科省の定めで4つの大きな分野からできています。また高校数学も概ねこの流れをくんでいます。その4つの分野をはっきりさせたのが「もどりま表」です。「もどりま表」の原型は拙書「大人のための中学数学勉強法」でご紹介した下の表です。
このように数学は「数と式」・「関数」・「図形」・「資料の活用」の4つの分野に分かれていますので、ある単元が分からないときは同じ分野の一つ前の単元に戻って復習すると効果的です。例えば数Ⅰの「二次関数」に躓いたときは同じ「関数」の一つ前の単元である「y=ax2」(中3)に戻ります。それでも分からないときはさらに一つ前の「一次関数」に戻ってみましょう。
なお番組で紹介された「もどりま表」は上の表と縦横が反対になっていまいした。おそらくテレビ画面が横長だからでしょう。(^_-)-☆
プロセスに目を向ける
数学には人類の叡智の結晶が詰まっていますがその「叡智」は結果にはありません。
私たちがピラミッドを見た時に畏怖の念にも近い感動を覚えるのはその大きさのせいではないでしょう。あの時代にあれだけ巨大な石を積み上げたその方法すなわちプロセスに対して私たちは驚嘆するのです。
参考記事⇒答案の書き方
Photo Credit: Trodel via Compfight cc
数学に接するときもピラミッドを観るときと同じようにそのプロセスに目を向けましょう。定理や公式や解法という「結果」を丸暗記してそれに数字をあてはめているだけではいつまでたっても応用問題、未知の問題は解けるようにはなりません。定理や公式ならばその証明に、解法ならばその発想に目をむけることで初めて意味と意義が分かるようになり、本当の意味での応用力を育てることができます。
…という趣旨のコメントも収録したのですが、やはり時間の関係で番組では割愛されてしまいました。あ、繰り返しますが根には持っていません(笑)。「暗記をするな!プロセスに目を向けろ!」というメッセージはしっかり説明をしないと曲解されかねませんので今回は省いてもらって正解だと思います。でもいずれテレビ等でもっと時間を頂ける機会があれば是非このことは広くお伝えしたいと思っています。
「テストの花道」公式ホームページ
昨日の放送内容は番組ホームページで見ることができます。上の「もどりま表」もダウンロードできるようです。また8/10(土)午前10:00~には再放送もあるようですのでご興味のある方は是非ご覧ください。
NHK テストの花道 - 過去の放送 -「夏休み!ベンブ10万人の声!! 苦手克服スペシャル」
今回は本当に良い経験を積ませていただきました。これも応援して下さる皆様のおかげです。改めて御礼申し上げます。そして今度はスタジオにも呼んでいただけるようになお一層精進したいと思います!!
(`・ω・´)ゞ