昨日放送の『テストの花道(NHK Eテレ)』に出演させていただきました。8月、10月に続き3度目の機会に恵まれたことを感謝しています。今回のテーマは『数学って面白い!』。前回と前々回はインタビューでの出演でしたが、今回はスタジオでタレントさん相手に授業をさせてもらいました。
数学苦手克服のポイントとして今回お伝えしたかった事は
・公式を丸暗記せずに、証明を理解する。
・『もどりま表』を使ってわかるところまで戻る。
の2点です。
公式を丸暗記せずに、証明を理解する
「授業」の中では、三平方の定理の証明をピタゴラスの方法とアインシュタインの方法で2通り行いました。ここではアインシュタイン式の法を紹介します。
アインシュタインの方法は3つの直角三角形の相似を使います。
今回生徒として来てくれたういさん(佐藤初さん)とほんぴぃさん(小林歩乃佳さん)は
「すごい!」
「はじめて数学にトキメキました♪」
などと感動してくれたのですが、番組は30分という限られた時間なのでこの部分はカットになりました。
小中高で学ぶ12年間の算数・数学には、人類の誇る数学の賢人たちが到達した叡智の結晶が詰まっていますが、その本質はプロセスにあります。結果を暗記してそれに数字をあてはめるのは数学でも何でもありません。番組の最後に桜井進先生が
「数学の感動体験をつくることが大切です」
と仰っていました。私もまったく同感です。公式や定理の証明を通して
「あ~人間って賢いなあ」
という感動を味わえるようになれば、数学はきっと面白くなります!
常々申し上げている通り、数学ができるようになる唯一の道は丸暗記をやめることなのです。
もどりま表
『もどりま表』は私が拙書『大人のための中学数学勉強法』のあとがきでまとめたものです。『テストの花道』では8月に出演させていただいた時にもご紹介しました。
あまり知られていないことのようですが、中学数学の各単元は大きく
- 数と式
- 関数
- 図形
- 資料の活用
に分かれています。これは指導要領にも明記されている分類です。
高校数学についてはこの分類は必ずしも明確ではなく、例えば「ベクトル」などいくつかの分野の内容が横断的に含まれる単元もありますが、積み重ね学習である数学において今勉強している単元がどの分野の単元なのかを意識することはとても重要です。分からなくなったら、その分野の単元を少しずつ前にたどり
「これなら分かる」
と思えるところまで戻りましょう。そこから丹念に復習すればきっと分かるようになります。
番組では、ういさんとほんぴぃさんのお二人に『もどりま表』の活用を実践してもらいました。
『もどりま表』の活用例(その1)
私がういさんに用意した問題はこれです。
これは数IIの指数関数のグラフの問題ですが、どうやらグラフの平行移動についての理解が不十分のようでした。そこで同じ関数の分野で「指数関数」→「2次関数」と戻って、放物線のグラフを書きながらグラフの平行移動について復習しなおしました。
すると…
大正解\(^o^)/
この問題の詳しい解答はこちら(クリックで拡大します)↓
『もどりま表』の活用例(その2)
ほんぴぃさんには、数Ⅰの単元「数と式」からこんな問題を用意しました。
この問題は一見簡単に見えますが、以下のように誤答してしまう人が非常に多い問題です。
正解するためには、√(ルート)について
という定義を正しく理解し、
であることが分かっていなくてはいけません。もちろん絶対値についての理解も必要です。そこで同じ「数と式」の分野の中で「平方根」→「絶対値」と戻りました。
すると…
こちらも大正解\(^o^)/
詳しい解答はこちら↓
NHKさんからまたこうして貴重な機会が頂けたことは大変励みになりました。公式の証明や『もどりま表』で、数学の苦手を克服する人が1人でも増えてくれれば一数学教師として大変嬉しく思います。
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