昨日、永野数学塾の「勉強法カウンセリング」に中学2年生の女子生徒さんが来てくれたのですが、彼女は、私が今まで出会った生徒さんの中で一番の天才かもしれません。
昨日、「勉強法カウンセリング」に来てくれた中学2年生の女子生徒さん。今まで出会った中で一番の天才かもしれない。数学の勉強と言えば、学校で出された宿題をやるだけ。でもテストはいつも学年トップ。話の本質を汲み取るスピードが尋常でなくはやい。そして素直。将来が本当に楽しみ。
— 永野数学塾 永野裕之 (@naganomath) 2018年9月7日
数学の勉強は、学校で出された宿題をやるだけ。でもテストはいつも学年トップ。当然高い計算力も有してますが、算盤や公文などを小さいときからやっていたわけではなく、車に乗ったときに他の車のナンバーを使って数字あそび(4つの数字で10を作るなど)をする程度だとか。
将来は、数学オリンピックに出場し、東大の数学科に進みたいそうです。彼女なら、おそらくそのどちらも達成するでしょう。若いうちからこういうはっきりとした夢を持てること、いわば「夢見力」が強いのは天才肌の人間の特徴のように思います。
永野数学塾には数学の力をさらに伸ばしたい、ということで来塾されましたが、私がお伝えしようと思っていたことは、既に理解されているようでした。
実際の会話は、たとえばこんな風です。
算数と数学の違いはなんだと思いますか?
文字を使うことでしょうか?
では、それはなぜだと思いますか?
一般化することで、色々な問題に対処できるからですか?
まだ数学をはじめて1年とちょっとの中学生がここまで端的に算数と数学の違いを本質的に言い当ててくれたのは初めてです。
また、
問題演習で間違ってしまったときは、どのようにしていますか?
と尋ねたときも
解答を読んで、なぜ間違ってしまったかを分析し、自分に足りなかった発想を身につけて、次の問題では間違えないようにします
と答えてくれました。
多くの生徒さんが、闇雲に問題演習を行い、下のイラストのような無限ループに陥ってしまう中、数学の勉強とは、まだ見ぬ新しい問題に備えることであると中学2年生の段階で気づいていることにも驚きました。
誰かに教わらなくても直観的に本質を汲み取る力に長けているのだと思います。
(注:このイラストは、拙書『大人のための数学勉強法 ― どんな問題も解ける10のアプローチ』(ダイヤモンド社)で きたみりゅうじ さんに書いて頂いたものです)
全般に、会話をしていて、とてもスムーズにキャッチボールができるため、相手が中学2年生であることを忘れてしまいそうになりました。語彙が豊富で、言葉の使い方も正確です。聞くと、やはり読書が大好きなんだとか。国語力(言語能力)に長けているのは、私がこれまでに出会った一流の科学者全員に共通する資質です。
出会って30分ほどで彼女が並々ならぬ才能の持ち主であることはわかりましたが、試しに、2015年のシンガポール・アジア学校数学オリンピック(SASMO:Singapore and Asian Schools Math Olympiad)で出題された下記の「シェリルの問題」を解いてもらいました。最初はやや苦戦したものの、ほんの少し情報整理のヒントを出しただけで、易々と解いてしまいます。その様は「まるでスポンジが水を吸うように」という表現がぴったりでした。やはり彼女クラスになると、学んだものを自分のものにしていくスピードも桁違いです。
《参考記事》「シェリルの問題」の解答・解説があります。
彼女が帰ったあと、極めて素直であることもやはり天才の条件だなあ、と改めて思いました。学ぶスピードが速いのも素直さの表れではありますが、これだけの高い能力を持っていながら、驕り高ぶったところや下手な頑固さは微塵も感じられず、大人の話をきちんと聞き、取り入れようとする真っ直ぐさがありました。これもまた本当に優秀な人に共通する美点だと思います。
まとめると、私の考える「天才の条件」は以下の通りです。
- 夢を見る力が強い
- 直観的に本質を見抜く
- 言語能力に長けている
- 学ぶスピードが桁外れに速い
- 素直である
彼女の将来が本当に楽しみです!