永野裕之のBlog

永野数学塾塾長、永野裕之のBlogです。

【新刊】ふたたびの確率・統計(2)【統計】編(すばる舎)

9/26に新刊『 ふたたびの確率・統計[2]統計編 』(すばる舎)が出ます。電子版も同時発売です。

ふたたびの確率・統計[2]統計編

 

出版社キャッチコピー

以下は出版社がつけてくれたキャッチーコピーです。

「統計」という訳語をひねり出した明治人の奮闘から、「戦死」の実態を統計で視覚化した白衣の天使の話、100人中62人がその効果を認めたダイエットサポート飲料の判定まで、「統計リテラシー」の核心に迫る

どういう本か?

本書『 ふたたびの確率・統計[2]統計編 』は、7月に出た『 ふたたびの確率・統計[1]確率編 』に続く第2巻(下巻)です。第1巻(上巻)についての詳しい紹介は、過去記事↓をご覧ください。

2冊を並べると、巨峰とマスカットのようです。編集者さんは「ぶどうシリーズ」と呼んでました(笑)。

ちなみに、すばる舎さんより既刊の『 ふたたびの微分・積分 』、『 ふたたびの高校数学 』と一緒に並べると…

こんな感じです。

本書『 ふたたびの確率・統計[2]統計編 』は全544頁。高校数学全般をまとめた『 ふたたびの高校数学 』(全574頁)に迫る厚さとなりました*1

「統計」だけなのに、どうしてここまでのボリュームになるのかと不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。

高校数学全般を扱ったものとほとんど同じ厚さなのはどういうわけ?

理由は2つあります。

1つは、『ふたたびの高校数学』では、高校の現指導要領の中で必須単元となっている内容(記述統計)しか扱っていませんが、本書は記述統計推測統計*2について、2022年度(令和4年度)から新たに盛り込まれる予定の仮説検定も含めて、高校数学で学べる統計の内容はすべて網羅しているからです。詳しくは下記の目次をご覧ください。

令和4年度から実施される新指導要領では、推測統計(仮説検定を含む)も、(事実上の)必須単元になります。

《参考記事》

統計編がここまでのボリュームになったもう1つの理由は(こちらの方が大きな要因です)、これまで20年以上、中学生、高校生、社会人を個別指導させていただいた中で、一度でも生徒さんから質問が出た事柄は、細大漏らさず詳しく解説しているからです。言わば、統計を学ばれる方が疑問に思われる点を最大公約数的にではなく、最小公倍数的に拾い出しました。

統計は、実生活に役立つ「応用数学」*3としての側面が強く、理論よりもまずは使えるようになることを求められがちです。そのため「使い方」に特化して解説してある本はたくさんあります。しかし(というか、だからこそ)、「どうしてそういう結論になるのか?」という疑問が残りやすい分野でもあります。

EXCELなどの表計算ソフトを使って、様々な統計値をはじき出すことは、少し練習すればそう難しいことではないでしょう。でもその理論的背景は高校数学の範疇では収まらないほど高度であることが少なくありません。実際、高校の教科書では多くの理論的背景の説明が、「◯◯であることが知られています」という表現を付して省略されています。本書ではそういう部分もできるだけ端折らずに解説しました*4

「行間をとことん埋める」というのは、「ふたたびのー」シリーズ共通のコンセプトです。

その結果…

このボリュームになりました。

本書の読者対象は?

Well read dog

高校生のとき、統計がよくわからなかったすべての方が読者対象です。また、EXCELなどを使って統計量を計算することができたり、資料等で見かける統計の意味を知っていたりはするものの、統計の理論的背景はわからず、そこに興味がある方にもぜひ読んでいただきたいです。きっと「あー、こういうことだったのか」と膝を打っていただけると思います。

それから、本書は「ふたたびのー」というタイトルではありますが、はじめて統計を学ぶ方のことも強く意識して書きました。本書は手軽に読める類の本ではないかもしれませんが、可能な限り丁寧な説明と、豊富なイラスト、身近な例、理解を深める例題、コラムなどを通じて、統計の魅力とその意味や意義をお伝えできるように、精魂こめて書いたつもりです。本格的に統計を学んでみたい、という方の最初の一冊としてどうぞお役立てください。

目次

はじめに ~続編のための「ふたたびの」まえがき~

第3章【記述統計】(Descriptive Statistics)
00【統計とは?】~統計なくして国家なし~
 コラム1 「統計」という言葉について
01【データの整理】~そのルールや作法を学ぶ~
 コラム2 大きな数の“チョーすごい”話
02【データの代表値】~それぞれの考え方と求め方~
 コラム3 「平均人」の誕生と幻想
03【データの散らばりと四分位数】~4分割で見る~
 コラム4 EXCELで箱ひげ図を書こう
04【分散と標準偏差】~平均からのばらつき具合~
 コラム5 今度こそシグマ記号を攻略しよう!
05【データの相関】~図の印象と数値で分析~
 コラム6 EXCELで相関関係を調べよう

第4章【推測統計】(Inferential Statistics)
01【確率変数と確率分布】~まずは概念を導入~
 コラム7 パスカルとフェルマーの往復書簡
02【確率変数の和と積】~数式と記号の意味を知る~ 
 コラム8 なぜ、こんなにも数式にこだわるのか
03【二項分布と正規分布】~推測統計の屋台骨~ 
 コラム9 正規分布の歴史
04【推測統計】~サンプルと母集団のズレを考察~
 コラム10 仮説検定の誤用とp値至上主義への警告

あとがき
さくいん

より詳しい目次は↓

f:id:naganomath:20190924094542p:plain『ふたたびの確率・統計[2]統計編』目次

サンプルページ

さくいん

担当編集者の稲葉健さんが作って下さった力作です! 単に重要事項を拾い出しただけの無味乾燥な索引とは一線を画する、非常にエスプリに富んだ索引になっております。これを眺めていただくだけでも、本書に対する筆者と編集者さんの意欲がわかっていただけるのではないでしょうか。ぜひ、ご覧下さい。

謝辞

上記の稲葉健さんに加え、第1巻に引き続き訴求力のあるカバーデザインにして下さった原田恵都子(ハラダ+ハラダ)さん、楽しくほっとする本文イラストを書いて下さったムロイコウさん、非常に読みやすい紙面を実現して下さった本文組版の有限会社クリィークの皆さんなど、本書を世に送り出すためにお力添えを頂いたすべての方に深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。  

ふたたびの確率・統計[2]統計編

ふたたびの確率・統計[2]統計編

 

 

*1:ちなみに、確率編は全377頁ですので、2巻合わせると900頁超です

*2:推測統計は、現指導要領の中では選択単元になっています

*3:一方、厳密かつ抽象的な議論の中で数学単体での合理性や美しさを重視するのが「純粋数学」です。

*4:とはいえ、大学の教養課程の内容をも超えるような高度な数学を要する内容については、どういう数学が必要になるかを紹介した上で、一部の解説を割愛させていただきました