photo credit: Luciano Signorelli via photopin cc
永野数学塾の「虎の巻」を公開する「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」シリーズ3回目の今日は、15族の窒素、リン篇です。
このシリーズをまとめたものは↓
まずは窒素から!
窒素N2と窒素の化合物
N2(窒素)
- 空気中に約78%含まれる。
- 無色・無臭。
- 反応性に乏しい。
NH3(アンモニア)
- 無色、刺激臭。
- 水に溶けやすく水溶液は弱塩基性。
NO(一酸化窒素)
- 無色。
- 水に不溶。
NO2(二酸化窒素)
- 赤褐色。
- 水に溶けて硝酸(HNO3)を生じる。
HNO3(硝酸)
- 強酸。
- 強い酸化剤。
- 光で分解しやすいので褐色のビンに保存する。
※ 1772年、ダニエル・ラザフォードが窒素を単体分離し、その中に生物を入れると窒息して死んでしまうことから noxious air(有毒空気)と命名した。ドイツ語では Sticken(窒息させる)と Stoff(物質)を組み合わせて Stickstoff と呼ばれており、日本語の名称「窒素」はこれを訳したものである。(窒素 Wikipedia)
リンP
リンは同素体(同じ元素からなる単体で性質の異なる物質)をもちます。
※ 人間の体内には成人男子で約700グラムのリン化合物が含まれている。細胞膜や遺伝子のDNA等に含まれていて生物が生きていく上での必須元素である。
リンの同素体
リンには白リン(黄リン)、赤リン、紫リン、黒リンなどの同素体が存在しますが、特に重要なのは白リン(黄リン)と赤リンです。
白リン(黄リン)
- 淡黄色。
- 有毒の固体。
- 自然発火のおそれがあるので水中に保存する。
※ 白リンと黄リンは同一物質である。黄リンは白リンの表面がわずかな赤リンで覆われているために黄色に見える。
赤リン
- 赤褐色。
- 毒性の低い粉末。
- マッチに使われている。
↓白リン(黄リン)の自然発火の動画…よく燃えております(・・;)
リンの化合物
リンの化合物はリン酸と十酸化四リンをおさえましょう。
H3PO4(リン酸)
- 三価の酸。
- 酸の強さは中程度(酢酸よりは強く、塩酸よりは弱い)。
構造については→参考サイト
P4O10(十酸化四リン)
- リンを燃やすと生じる。(4P + 5O2 → P4O10)
- 乾燥剤。
人魂の正体はリン?
これは試験には出ませんが、ちょっと寄り道…(^^;)
リンが自然発火をすることから、「人魂の正体はリンである」とする俗説があります。
photo credit: Spamboy via photopin cc
戦前の葬儀は土葬であったため、遺体から抜け出したリンが雨の日の夜に雨水と反応して光る現象は一般的であり、庶民に科学的知識が乏しかった事が人魂説を生み出したとする説もある(人魂 Wikipedia)
確かに(前述のとおり)、リンは生物には欠かせない元素で人体にも約1%含まれていますが、人体に含まれるリンはリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムという化合物の形をしているので、単体のリンの現象である自然発火が起きるのは考えにくい、というところに落ち着いているようです。