永野裕之のBlog

永野数学塾塾長、永野裕之のBlogです。

【新刊】『とてつもない数学』(ダイヤモンド社)

f:id:naganomath:20200529121514j:plain

6/4に新刊『 とてつもない数学 』(ダイヤモンド社)が出ます。

とてつもない数学

出版社の内容紹介

以下は出版社がつけてくれた内容紹介です。

天才数学者たちの知性の煌めき、絵画や音楽などの背景にある芸術性、AIやビッグデータを支える有用性・・・。とても美しくて、あまりにも深遠で、ものすごく役に立つ学問である数学の魅力を、身近な話題を導入に、語りかけるような文章、丁寧な説明で解き明かす!文系でも楽しめる究極の数学読物!

「ヨビノリたくみ」さんの帯推薦

f:id:naganomath:20200602124919j:plain

数学や物理の教育系YouTuberの第一人者であり、堀江貴文氏らが東大を受験したAbemaTVの「ドラゴン堀江」では理系講師も務められた「ヨビノリたくみ」さんから、以下のような帯推薦を頂戴しました。

色々な角度から「数学の美しさ」を実感できる一冊!!

読者対象

本書の読者対象は、以下の方々です。

  • 数式は苦手だが、「数学」という学問には興味がある
  • 数学の「とてつもない魅力」を知りたい
  • 「学校では教えてくれない数学」に興味がある
  • 「数学は美しい」ことを実感したい
  • 数学の歴史や数学者のエピソードに興味がある
  • 数学がどのように社会の役に立っているのかを知りたい
  • 数学を学ぶモチベーションを上げたい
  • 学生時代、一番キライな教科は数学だった

とにかく、「お勉強」以外の数学に少しでも興味のある方や、数学がキライな方には是非読んでいただきたいと思っています。

本書の特色

私としては、初のオールエッセーです。

これまで書かせて頂いたいわゆる「学び直し」用の本でも、「箸休め」的なコラムはいつも力を入れて書いてきましたが、この本はすべてががコラム=「箸休め」です。難しい話は一切抜きにして、気軽に読んでいただけることを第一に考えて書きました。

とはいえ、他愛もない雑談ばかりというわけではありません。すべてのエピソードは「数学のとてつもない価値と魅力をできるだけ豊かに、できるだけ多角的にお伝えする」ことが大きなテーマになっています。

本書は、6つの章に分かれていて、章ごとにそれぞれ次のようなテーマを設けました。

1章 数式―数で世界のすべてを記述する

2章 天才数学者たち―奇人・変人たちが抽象思考の極北に挑む

3章 芸術性―感性に訴える数学の「美」

4章 影響力―世界史は数学とともに発展した

5章 役に立つ―現代社会のテクノロジーを支える

6章 計算―インド式、便利な暗算、数学パズル

私が数学に魅せられたきっかけは、高校のとき、物理を通して微分・積分の「とてつもなさ」を理解できたからでした。力学に関する数々の公式が運動方程式というたった一つの数式を積分することによって得られることを知ったときの感動と驚きは今もはっきりと思い出せます。

それは私にとって数学という世界の扉が開いたような心持ちになる出来事でした。その後は、数学の持つ合理性と美しさはどこにでも発見することができましたし、数学が教えてくれるものの考え方が人生を生きる上での指針になることも知りました。

音楽の楽しみ方や料理の味わい方に決まりがないのと同じように、数学の楽しみ方にも決まりはありません。どんなジャンルでも、どんな方向から切り込んでも、とてつもない魅力を放つ。それが数学です。数学にはそれだけの懐の深さがあります。

本書で紹介した数学の学問としての奥深さ、美しさを体現する芸術性、実学としての社会への影響力などを通して、数学の「とてつもなさ」が―どれかひとつでも―伝わりますように。そしてそれが、読者の方にとって「数学の扉」が開くきっかけになればこんなに嬉しいことはありません。

それから、漫画家・イラストレーターのことり野デス子さんに書いて頂いたイラスト100点以上収められている点も、本書の大きな特色の一つです。

ことり野さんの可愛くそしてわかりやすいイラストのおかげで、読者の頁をめくるスピードは格段に速くなると思います。ちなみに、ことり野さんのTwitterのフォロワーは約4.1万人、Instagramのフォロワーは約6.6万人です。数学者の旦那様との結婚を描いた「漫画家と異星人」は特に大人気で、私も以前から拝見していました。

数学は「嫌いな教科」第1位…

hate math

学研教育総合研究所が2019年に発表した「高校生白書」によると、数学は「嫌いな教科」の第1位です。なぜ、数学はそんなに嫌われているのでしょうか? 以下にその理由として考えられるものと、それぞれに対する私なりの「反論」=「数学の魅力」を書いてみたいと思います。

数式は意味のわからない文字の羅列にしか見えないからキライ

学校で習う数式のひとつひとつは、過去の偉大なる天才数学者たちの手によってこの世にもたらされたものです。その有り余る才能のために落ちこぼれならぬ「浮きこぼれ」となった彼らは、世間から奇人・変人と云われながらも、凡人には意味もその存在すらも見えない深遠なる課題を発見します。そして血の滲むような努力と天性の煌めきによってそれらを克服し、真理を産み落としました。彼らについて知れば、数学は人類が脈々と受け継いできた「叡智の結晶」であることがわかるだけでなく、クールな数式の裏に隠された熱いドラマに胸を打たれることでしょう。

数学なんて勉強したって将来役に立たないでしょう?

数学は、インターネット、統計、AIなど、現代社会そのものとテクノロジーを下支えしています。2019年の3月に経済産業省が出した「数理資本主義の時代~数学パワーが世界を変える」というタイトルのレポートにはこんな扇動的な言葉が踊っています。

「第四次産業革命*1を主導し、さらにその限界すら超えて先へと進むために、どうしても欠かすことのできない科学が、三つある。それは、第一に数学、第二に数学、そして第三に数学である!」

実際、今日の世界市場を席巻するいわゆるGAFAM(Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoft)に日本企業はまったく太刀打ちできていません。その最大の原因は、数学教育の、とりわけ統計教育の遅れにあると言われています。

ごくプライベートな問題から、国家戦略に至るまで数学が与えてくれる問題解決能力合理的な思考力・判断力が活かせるシーンは数限りなくあると言っていいでしょう。

数学は理屈っぽいからキライ。もっと感性に訴えかけてくれるようなものじゃないと好きになれないわ

実は、絵画、彫刻などの美術や音楽などの芸術、あるいは自然の美しさの背景には、数学理論に裏づけられた法則がひそんでいることが少なくありません。数学の美しさについては、色々な名言が残っていますが、例えば「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」などの作曲家として知られるロシアのピョートル・チャイコフスキー(1840 1893)は次のいように言っています。

「もしも数学が美しくなかったら、おそらく数学そのものが生まれてこなかったであろう。人類の最大の天才たちをこの難解な学問に惹きつけるのに、美のほかにどんな力が有り得ようか」

数学はそれ自身が美しいばかりでなく、さまざまな美しさの理由を与えてもくれます。

数学は計算ばっかりだから嫌なんだよね

そういう方には、魔法陣や万能天秤といったパズル的な「計算」についても知ってもらいたい思います。そうすれば、ドリル的な計算とは別の面白さと、その方法を編み出した人間の賢さに思わず膝を打ちたくなるような快感を味わってもらえることでしょう。

数学は、たった一行の数式で宇宙の物理法則を完璧に記述してしまうような言語としての凄さ、ありとあらゆる世界に影響を与えた影響力の大きさ、美術や音楽を語れる芸術性、実学としての有用性までも備えた揃ったとてつもない学問です。

本書には、表面上は読みやすい手軽さを装い(?)ながら、極めて高い密度でこうした数学の「とてつもない魅力」を紙幅の許す限り詰め込みました。是非、お手に取ってみてください。

目次

はじめに

1章 とてつもない数式

負の数は数学界のパラダイム・シフト

1兆という「量」を想像できますか?

累乗は爆発的に増加する

数学の女王と整数の不思議

素数はいまも未解明

2章 とてつもない天才数学者たち

欧米エリートの必読書『原論』とユークリッドの謎

悪魔の頭脳を持つ男とゲーム理論

インドの魔術師の驚異のひらめき

無限を捉えた数学者の闇

不完全性定理を証明した完璧主義者

3章 とてつもない芸術性

数学の美しさは内的快感にある

ピタゴラスと数秘術

数学は音楽や天文学だった?

曲線の博物館へようこそ

タイルを敷き詰める数学

4章 とてつもない便利さ

1対1対応と秀吉のひも

フェルミ推定と「だいたい」

先頭に来ることが最も多い数字

有益な情報の見つけ方

統計が国家を変えた

5章 とてつもない影響力

大きな数はN進法で攻略せよ

ネイピア数は科学を支える

人類は円周率を探求する

虚数と量子コンピュータ

6章 とてつもない計算

魔法陣で頭の体操

万能天秤を知っていますか?

両手を電卓にする方法

2桁の掛け算をすぐに暗算

「+」「-」「×」「÷」はいつ生まれた?

 

おわりに

参考文献

サンプルページ

f:id:naganomath:20200603221349p:plain

f:id:naganomath:20200529184558p:plain

f:id:naganomath:20200529184611p:plain

f:id:naganomath:20200529184630p:plain

f:id:naganomath:20200529184649p:plain

f:id:naganomath:20200529184700p:plain

謝辞

本書の企画を立案し、テーマの選定や原稿修正の指南をしてくれたのは、ダイヤモンド社の田畑博文さんです。田畑さんには、原稿を練る段階においても、読者目線から非常に有益なアドヴァイスを数々頂きました。もし読者の皆さんが本書を「わかりやすい」と思って下さるのなら、その功績は田畑さんに負うところが大きいです。この場をお借りして深く御礼申し上げます。

ことり野デス子さんのイラストにも、本当に助けていただきました。可愛く、わかりやすいことり野さんのイラストのおかげで、紙面がどれだけ柔らかく親しみやすいものになったかわかりません。またその一方で、私が原稿の段階で具体的にお願いした図については、どんなに細かい点も見逃さずに驚くべき緻密さで仕上げて頂いたことにも、改めて御礼申し上げたいと思います。

その他、本書を世に出すにあたりご尽力頂いたすべての方に重ねて感謝を申しあげます。

ダイヤモンド・オンラインの記事(随時更新)

上記の「完全数」に関する記事が軽くバズったおかげで、Amazonの総合ランキングが70位にまで上がりました!

diamond.jp

ことり野デス子さんのTweet

イラストのことり野さんが、発売日前後に宣伝のTweetをして下さったので、ありがたくこちらでも紹介させていただきます。

 

とてつもない数学

とてつもない数学

  • 作者:永野 裕之
  • 発売日: 2020/06/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

売り上げランキング(記念のスクショ)

《追記:2020年6月8日正午》

おかげさまで、発売後の初速は好調のようです。読者の皆様、本当にありがとうございます!

後で見たとき「あの頃は良かったなあ」と思い出に浸れるように(個人的な愉しみのためにすみません…)記念のスクショを何枚か残させてください。

Amazon

「数学」カテゴリー1位(総合84位)

Amazonでの総合2桁は処女作(大人のための数学勉強法 )以来です。

f:id:naganomath:20200607122556p:plain

honto

「数学」カテゴリー1位

f:id:naganomath:20200607122616p:plain

紀伊國屋書店

「サイエンス」カテゴリー1位

f:id:naganomath:20200607122626p:plain

セブンネットショッピング

「理学・工学」カテゴリー1位

f:id:naganomath:20200607123247p:plain

ヨドバシドットコム書籍

「数学」カテゴリー1位

f:id:naganomath:20200607123651p:plain

《追記:2020年6月14日午前10:00》

楽天ブックスでも1位に!

楽天

「数学」カテゴリー1位

f:id:naganomath:20200614101321p:plain

読者の皆様、本当にありがとうございます!!!

 

2刷り決定!

《追記:2020年6月20日》

おかげさまで、発売4日で1万部の増刷が決まりました。書店様では、2刷りの配本分から以下のPOPと共に展開していただけるようです。改めて、読者の皆様、書店の皆様、ダイヤモンド社の皆様、ことり野さん、ヨビノリたくみさん、関係者の皆様、ありがとうございます!

f:id:naganomath:20200620210458p:plain

3刷り決定!

《2020年7月20日追記》

おかげさまで、発売から約6週間で5000部の3刷りが決定しました。累計2万2000部です!

(下の画像は、週刊ダイヤモンドで何度か掲載された広告です)

f:id:naganomath:20200721104632p:plain

新聞広告(2020年6月22日 日経新聞)

f:id:naganomath:20200622062057j:plain

f:id:naganomath:20200622062118j:plain

書評

週刊ダイヤモンド(2020年7月18日号)

f:id:naganomath:20200715065655j:plain

週刊ダイヤモンド(2020年7月18日号)

朝日新聞:読書欄「情報フォルダー」(2020年7月25日)

朝日新聞デジタルの記事はこちら

f:id:naganomath:20200725113205p:plain

朝日新聞(2020年7月25日)

Share読書.Com

活かす読書

BOOKウォッチ(J-CASTニュース)

深沢真太郎さん

プレジデント(2020年9月4日号)

f:id:naganomath:20200812090951p:plain

本の要約サイト「フライヤー」

 

*1:AI(人工知能)、IOT(モノのインターネット)、ナノテクノロジー、自動運転といった技術革新があらゆる場面の産業に引き起こしている技術変革のこと